モンティ・ホール問題

データ解析の授業も4回目となり,今回は順列・組み合わせと確率論の基礎を話した上で,確率分布について触れ,2項分布の説明までやりました.今回は,前回よりさらに難しいというのはわかっていたので,学生引くだろうなぁと思っていたら,やっぱりでした.
確率論の堅い話ばかりじゃつまらないかなということで,条件付確率を使ったちょっとしたお遊びで,モンティ・ホール問題を出してみました.でもって,条件付確率を使った説明と言葉での説明,両方を試みてみたのですが,これが大失敗.余計に学生をパニックに陥らせてしまったようです.そもそも,条件付確率という考え方に馴染んでない学生にモンティ・ホール問題は無茶だったかなぁ…….
モンティ・ホール問題:
あるバラエティ番組で,司会者は回答者に次の問題を出します.
「ここに,ABC3つの箱があります.この中の1つが正解で,残りは外れです.この中から一つを選んでください」
ここで,司会者は正解がどれだかを知っています.そして,回答者が一つを選択した時点で司会者はこう言います.
「実は,こちらの箱は外れです.さて,ここであなたにチャンスをあげます.あなたはもう1回箱を選びなおす事ができます.残ったほうに変えますか?それとも,そのままにしますか?」
このとき,回答を変えるのと変えないの,どちらが正解する確率が高いのかというのが,モンティ・ホール問題です.これは,ベイズの定理を使うと簡単に求められます.と言ってもベイズの定理は教えていないので,ベイズの定理を使わずに(でも,結果的にベイズの定理の形にはなっているんですが)回答例は作成しました.
仮に選択した箱をAとし,司会者が開いた箱をBとします.個々の箱が正解である確率をP(A),司会者が箱Bをあける確率をP(b)と置きます.すると,
P(A)=P(B)=P(C)=1/3
P(b|A)=1/2 (Aが正解なら,B,Cどちらの箱を選んでもいいので)
  P(b∩A)=P(b|A)P(A)=(1/3)(1/2)=1/6
P(b|B)=0 (Bが正解ならBの箱は絶対に開けられないので)
  P(b∩B)=P(b|B)P(B)=0
P(b|C)=1 (Cが正解で回答者がAを選択しているなら,Bを開けざるをえないので)
  P(b∩C)=P(b|C)P(C)=1/3
ここで,A,B,Cは排反事象かつA∪B∪C=Ωなので
P(b∩A)+P(b∩B)+P(b∩C)=P(b)=1/2
よって,
P(A|b)=P(b∩A)/p(b)=1/3
P(B|b)=P(b∩B)/p(b)=0
P(C|b)=P(b∩C)/p(b)=2/3
となり,C,つまり変更したほうが確率が高いとなります.
この問題のキモは,Aが正解のとき,Bをあける確率は1/2なのに対して,Cが正解のときは,100%Bを開けざるを得ないというところです.ここらへんと,ベイズの定理の考え方がわかっていれば感覚的にも簡単に理解できるんですけどね…….言葉での説明も色々と考えてみたんですが,やっぱり中々難しかったようです.
感覚的に理解するのならば,選択したAが正しい確率が1/3,残り2つのうちいずれかである確率が2/3というところを利用して,正解を知っている人がはずれとわかっているものを開けたとしても,残り2つで正解率2/3である点は変わらないって考え方が楽なんでしょうが,司会者が1個開けて選択をしなおす時点で,それぞれ(AとC)の正解率が五分五分にリセットされると考えてしまう人が多いようです.
そもそも,Aを選択したという情報が与えられた上でBを開けているのであって,Bを開けるという行動は,Cが正解のときの方がより起こりやすいということを理解できれば良いわけなんですが,言葉で上手く言うのは難しいです…….
また,先週出した宿題のうちの一つに,どれか好きな国のGDP成長率を5年以上調べ,それに相応しい代表値を求めよという問題がありました.正解は幾何平均なんですが,問題に一つ罠がしかけてありまして,たとえば5%成長だったら,1.05として計算しなければいけないのです.ここで1.05とかできていれば幾何平均を正しく理解できていると見なそうと考えたのですが,残念ながら正解者ゼロの様子です.マイナス成長の年があると,このことに気付く人もいたのかもしれませんが,ちょっと厳しかったですかね.

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