2011年3月の読書メーター

3月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1252ページ

やがて今も忘れ去られる (角川文庫)やがて今も忘れ去られる (角川文庫)
この人の本は,写真詩集の方が好きだ.言葉が先なのか,写真が先なのかわからないのだけど,ぴったりマッチしているようで,微妙にずれている,その間を想像するのが何となく楽しい.「好きなものを 好きと言うたびに そこまでの距離を思い知らされるばかりで 孤独感はつのる」
読了日:03月29日 著者:銀色 夏生
金閣寺 (新潮文庫)金閣寺 (新潮文庫)
1950年の金閣放火事件を題材とした三島の代表作の一つ.やがては美そのものを憎むまでに,金閣という美に取り憑かれた青年の内面を徹底的に抉り出している.人を狂気に陥れる,と言っても,本当にそれは狂気と呼べるのか私にはわからないのだが,そんな美を描いているだけに,その文の美しさは想像を超えていた.特に,最後に闇の中金閣を見る描写の幻想的なまでの美しさは圧倒的.「金閣は無力じゃない。決して無力じゃない。しかし凡ての無力の根源なんだ」それが憎しみの源泉であり,生きるための行為であった.そういうことなのだろうか.
読了日:03月29日 著者:三島 由紀夫
世界を肯定する哲学 (ちくま新書)世界を肯定する哲学 (ちくま新書)
言葉・科学という不完全な道具で思考,表現している時点で,その不完全さが故の理解・表現不可能性が残る,それが筆者の主張する,全体を部分に分解し,集積し直すことでは全体は表現出来ないということだろうか.全体は,全体としてのみ存在する.そしてそれが,私が生まれる前から世界があり,死んだ後もあり続けることを実感するために必要になるとの議論だ.それにしても読むのに時間のかかる本だった.議論が難解ということではなく,話がどこに進もうとしているのかが見えづらく,どこに飛んでいくのかわからないという意味でだ.要再読か.
読了日:03月15日 著者:保坂 和志
蒼ざめた馬を見よ (文春文庫)蒼ざめた馬を見よ (文春文庫)
「―人間が見てはならない蒼ざめた馬を見てしまった世代なのだ。それは数限りない死の影です」直木賞を取った表題作を含めた初期短編集.流石に露文科出身と言ったところか,ロシアの描写の美しさなどは見事.ただ,この作者の特徴と言えばそれまでかも知れないが,どの話も最後が若干投げ放し感がある.特に,表題作の主人公の過去などは,伏線としてもう少し活かしても良かったように感じた.そのあたりで多少不満の残る作品も多かったが,「天使の墓場」は秀逸.社会情勢を物語の中心に据えながら,緊張感のある人間ドラマに仕上がっている.
読了日:03月07日 著者:五木 寛之
文芸的な、余りに文芸的な (1964年) (新潮文庫)文芸的な、余りに文芸的な (1964年) (新潮文庫)
谷崎潤一郎との論戦を基本としながらも,古今東西の文学・芸術に通暁した芥川らしい,インテリの薫り漂う芸術論となっている.明治,大正期の事情に精通していればより面白く読めるのであろうが,十分な知識のない私にとっても,当時の文壇の雰囲気を想像できる一冊だ.曰く「僕等の語彙はこの通り可也混乱を生じてゐる。(中略)が、誰も皆間違つてしまへば、勿論間違ひは消滅するのである。従つて、この混乱を救ふ為には、―一人残らず間違つてしまへ。」ちなみにこの本,父親の本棚からちょいと拝借したものなのだが,価格80円だそうで.
読了日:03月05日 著者:芥川 龍之介

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