Archive for the '本' Category

2012年4月の読書メーター

4月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:2199ページ
ナイス数:13ナイス

ル・パスタン (文春文庫)ル・パスタン (文春文庫)
池波エッセイ愛読者としては,今更コメントすることもあまりないが,個々のエッセイに,本人直筆のフルカラーイラストが入っているのが贅沢.内容的にもまとまりがある良書.
読了日:04月25日 著者:池波 正太郎
死の接吻 (ハヤカワ・ミステリ文庫 20-1)死の接吻 (ハヤカワ・ミステリ文庫 20-1)
財産目当てで富豪の娘に近づくが,その娘は妊娠してしまう.これでは勘当されて財産は手に入らないし,身の破滅を招きかねない.そこで,娘の偽装自殺を画策するが…….よくも悪くも古典だなという印象.人物描写は明瞭だし,第二部までの展開も期待の持てるものだった.しかし,今となっては新鮮味のある題材でもなく,真相にたどり着く第三部の,真相へのたどり着き方がかなり残念.題材に関してフォロワーを多く産んだのは評価するが,今となってはそれ以上のものでもないだろう.日本人なら「青春の蹉跌」あたり読んでれば充分じゃないかな.
読了日:04月23日 著者:アイラ・レヴィン
散歩のとき何か食べたくなって (新潮文庫)散歩のとき何か食べたくなって (新潮文庫)
池波正太郎の食エッセイも随分と沢山読んできたので,今更新しい感想というのもあまりない.この本も,相変わらずの池波節といった感じだ.読んでると,蕎麦を食べつつ一杯とやりたくなってしまうのも相変わらず.
読了日:04月16日 著者:池波 正太郎
幻の女 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 9-1))幻の女 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 9-1))
「夜は若く,彼も若かったが,夜の空気は甘いのに,彼の気分は苦かった」という有名な一文で始まるサスペンスの古典的名作.妻殺しの容疑をかけられ,死刑の判決が下された主人公.その死刑執行までのカウントダウンの中で,彼とその日一緒にいた,アリバイを証明してくれる女性の姿を探すが,その女性の姿を見たものは誰もいない.いったい何故なのか…….手がかりを掴んだかと思ったら逃げていく,迫り来る死刑執行の日,そのスリリングな展開は名作の名に恥じない.若干拍子抜けの部分もあったが,評判通りでやはり面白かった.
読了日:04月15日 著者:ウイリアム・アイリッシュ
絶海にあらず 下 (2) (中公文庫 き 17-9)絶海にあらず 下 (2) (中公文庫 き 17-9)
最後は小野好古との一大決戦.……と想像しながら読んでいたら,最後の最後に来て予想外.しかし,実に爽やかにまとめたなという印象.史実の中へのフィクションの混ぜ具合,そのさじ加減は見事.北方謙三の歴史小説の中では,海洋ものは作者の思い入れが深いのか,ハッピーエンドになるパターンが多い気がする.ただ,上巻から振り返ってみると,最初の頃を書いているうちは,実際小野好古と決戦させるつもりだったんじゃないかなという気も.
読了日:04月12日 著者:北方 謙三
絶海にあらず〈上〉 (中公文庫)絶海にあらず〈上〉 (中公文庫)
藤原純友は,いかにも北方謙三が好みそうな題材だ.北方謙三なら,平将門より藤原純友だろう.そして,北方謙三が藤原純友を取り上げるとしたら,きっとこんな感じの人物で,こんな感じの物語になるんだろうなという先入観を持って読み始めてみたら,びっくりするくらいにその先入観通りの描写だった.と言っても,それが悪いわけではなく,寧ろその逆.北方謙三が得意とする題材を,北方謙三らしく料理しているわけで,ファンからすればつまらない訳がない.そういう極めて正しい北方流海洋歴史ハードボイルド小説.
読了日:04月11日 著者:北方 謙三

2012年4月の読書メーターまとめ詳細
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2012年3月の読書メーター

3月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2621ページ
ナイス数:23ナイス

ぼくの大好きな青髭 (中公文庫)ぼくの大好きな青髭 (中公文庫)
「これまでわれわれが発見した極め付きの自己批判はなんだと思いますか?ただ理解するだけで自己完結してしまうチャチなコマネズミ,というんです.」四部作完結編.今作は,新宿を舞台に夢を追う人,夢を追って不幸になる人を救済しようとする人,それらを観察する人……と,複雑に絡み合いながらも,若者が夢を持つことを問い続けた濃密な青春小説.冒険小説のようであり,酷くもの悲しくもあり,「青髭」はどこか幻想的で,最初から最後まで読み応え十分.一作目から振り返ってみると,徐々に広い世界へと踏み出していった薫君がよくわかる.
読了日:03月17日 著者:庄司 薫
さよなら快傑黒頭巾 (中公文庫)さよなら快傑黒頭巾 (中公文庫)
これまでの作品とはうって変わって,あまり青春小説という感じがしなかった.勿論薫君達は相変わらず悩み,遊び,恋してとセーシュンしてる訳なんだけど,きっと,敗北がテーマになっているからなのだろう.黒頭巾になんてなれないって,子供のうちに理解出来てしまうことなんだけど,能力があると,却って何にだってなれる訳ではない知ることが出来るのが遅くて,そしてそれは,遅ければ遅い程,夢破れたことによって負う傷も深い.そういうありきたりな感想しか言えないのだけど,そのありきたりを納得させる描写のリアリティは強烈.
読了日:03月14日 著者:庄司 薫
白鳥の歌なんか聞こえない (中公文庫)白鳥の歌なんか聞こえない (中公文庫)
「赤頭巾ちゃん気をつけて」に始まる四部作二作目.ある老人の死に向かう過程と,それをきっかけとした幼馴染みとの恋愛という,テーマとしては非常にシンプルなものであり,途中まではちょっと気恥ずかしい感じだなと思いながら読んでいたのだが,若者の若者らしい葛藤が生々しく捉えられた文句なしの傑作だった.ただ,こんなにも誠実に愛とか死とかに向かい合う薫君,駆け落ちに失敗した小林,飽くまでも飄々とした立ち位置を貫く横田と,今の私には皆少々眩しすぎる.20年前,遅くとも15年前には読んでおくべき作品だった.
読了日:03月10日 著者:庄司 薫
楠木正成〈下〉 (中公文庫)楠木正成〈下〉 (中公文庫)
湊川も桜井の別れもない楠木正成.と言うか,楠木正行ら正成の息子たちは,誕生して以来登場すらしていない.それでも納得してしまうのは,一つにはこれまでの作品によって,湊川が正成にとって死ぬための戦いとして扱われていたことであり,もう一つには,倒幕までが正成の輝いていた場面と作者が認識していたという点であり,更には,従来の正成のイメージを作ったエピソードであり,敢えて描くのを避けた面もあるだろう.北方太平記の集大成に相応しく,これまでの作品との関連が随所に出て面白い.個人的には,観阿弥を上手く出したと思う.
読了日:03月07日 著者:北方 謙三
楠木正成〈上〉 (中公文庫)楠木正成〈上〉 (中公文庫)
北方太平記集大成は,これまでの主人公の中で最も著名とも言える楠木正成.所謂桜井の別れの大楠公のイメージではない楠木正成像を……という訳なのだが,「悪党の裔」や「道誉なり」で散々描かれている人物であるだけに違和感はない.どうも倒幕までをメインに描いているようで,比較的倒幕後の話が多かった北方太平記にあって,描き残していた部分と言えるだろう.上巻は倒幕に立ち上がるまでに多くを費やしており,派手さはないがその分下巻に期待が持てる.
読了日:03月06日 著者:北方 謙三
波王の秋 (集英社文庫)波王の秋 (集英社文庫)
フィクション色の強い,海洋を舞台としたハードボイルド歴史小説ということで,北方太平記の中にあっては,陽炎の旗と位置付けが近いか.物語の軸を主人公・小四郎に絞り込んだ分だけ,陽炎の旗よりものめり込み易かった.また,物語の展開としても,クライマックスまで一気に雪崩れ込むテンポの良さがあった.ただ,海洋を舞台にしたことで,位置関係等がわかりづらく,若干ピンと来ない部分があったことが残念か.
読了日:03月05日 著者:北方 謙三
真夜中のパン屋さん 午前1時の恋泥棒 (ポプラ文庫)真夜中のパン屋さん 午前1時の恋泥棒 (ポプラ文庫)
1冊目のイメージで読んでみたら,予想外の展開.これは,ある意味ミステリに分類した方がいいんだろうか?名探偵斑目氏の事件簿といった感じ.前作の時点で斑目氏のウケがよかったのか,全体的に作者の斑目氏への愛情を感じる.深夜営業の意味については,相変わらずわかったようなよくわからないようなという印象だが,まだまだ続きそうな印象だし,これでいいのかな.
読了日:03月02日 著者:大沼紀子
真夜中のパン屋さん (ポプラ文庫)真夜中のパン屋さん (ポプラ文庫)
最初は女の子の箱庭って感じだなぁとか思いながら,ある種微笑ましい気分で読んでたけど,変態という名の紳士,斑目氏登場で雰囲気が一転,登場人物もいい感じに壊れて一気に面白くなった.でも,深夜営業という設定がまだ活きてない気がする.ここらへんは,何故深夜営業なのかも含めて続編に期待かな.
読了日:03月01日 著者:大沼紀子

2012年3月の読書メーターまとめ詳細
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2012年2月の読書メーター

2月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2480ページ
ナイス数:9ナイス

道誉なり〈下〉 (中公文庫)道誉なり〈下〉 (中公文庫)
足利家内部での争いが激化した下巻,高師直の最期,尊氏と直義の最後の会話など,クライマックスとなるべきシーンに道誉が関わることはなく,主人公の座は完全に尊氏に移っていてる.悪党の裔と比較すると,より後の時代,近い立場で尊氏が描写されており,併せて読むことで北方流の尊氏像が出来上がるのだろう.ストレートに尊氏を主人公にしてしまうことで,そのある種破綻した人格が物語としての筋の通らなさを産みかねないということなのだろうか.「佐々木道誉の物語」とするには,時代小説の体裁をとっては難しいのかなと思う.
読了日:02月29日 著者:北方 謙三
道誉なり〈上〉 (中公文庫)道誉なり〈上〉 (中公文庫)
「悪党の裔」の赤松円心に続いて足利方の武将,佐々木道誉を主人公とした南北朝もの.道誉と言えばかつての大河ドラマ「太平記」で,陣内孝則が派手な着物で演じていたのが印象的だった.北方太平記をある程度通して読んでいれば話にはついていけるが,そうではないと置いてけぼりになるかも.思うがまま,強かに生きる道誉は登場人物としての魅力は十分であるが,物語として見た場合,南北朝時代の取り上げられ方の少なさも相まって,主役に置くにはマニアックな人選かも.結果的に,興味の対象も道誉の目を通した尊氏になっている気がする.
読了日:02月28日 著者:北方 謙三
悪党の裔〈下〉 (中公文庫)悪党の裔〈下〉 (中公文庫)
上巻と比べるといまいちすっきりしない気がするのは,一つには円心が何故足利方なのか,がはっきりしていない点か.あとは,全体的に少々地味かも.赤松円心の燃え尽きない,死を求めない悪党という立ち位置は興味深いが,それ以上に足利尊氏と楠木正成,それに加えて護良親王との交流のあり方が興味深かった.この物語のメインテーマは,ある意味において尊氏と正成であり,その生き様を表現する手段として使われたのが,円心なのかもしれない.後年に,度々描かれている楠木正成に敢えて挑んだのも,北方謙三の興味がそこにあったからなのだろう.
読了日:02月15日 著者:北方 謙三
悪党の裔〈上〉 (中公文庫)悪党の裔〈上〉 (中公文庫)
北方太平記シリーズ,この作品の主人公は赤松円心.北方謙三の作品にはアウトローがよく似合う.ということで,登場人物が実に活き活きしていてよい.歴史として見れば,赤松円心は飽くまでも脇役であり,だからこそ,物語そのもの以上に,描かれる人の魅力が際立つのかなと思う.
読了日:02月13日 著者:北方 謙三
破軍の星 (集英社文庫)破軍の星 (集英社文庫)
神皇正統記で知られる北畠親房の子,北畠顕家が主人公.武王の門と同様で,奇を衒ったところがないこれぞ北方流ハードボイルド歴史小説といった感じ.と言うか,登場人物を変えただけで,実質的には武王の門と同じと言えなくもない.登場人物をかなり絞り込んで,視点があまり行ったり来たりしない分他の作品より読み易いかも.それにしても,北畠顕家や菊池武光,それに中国ものでは楊家将など,北方謙三の目の付け所は素晴らしい.
読了日:02月08日 著者:北方 謙三
よい匂いのする一夜 (講談社文庫)よい匂いのする一夜 (講談社文庫)
宿をテーマにした旅行エッセイといったところか.他のエッセイに比べると,昔は良かった的な匂いが少々強いのが気になるが,慌てて観光地を廻るのではなく,ゆっくりと腰を据えた旅をしてみたいと思わせるのは流石.
読了日:02月03日 著者:池波 正太郎
陽炎の旗 (新潮文庫)陽炎の旗 (新潮文庫)
「武王の門」続編.あの話の後にどんな続きを?と思って読んでみたが,良くも悪くも予想外だった.英雄の血を引く架空の人物を通して,その血から解き放たれて自分の人生を生きるその過程を描いたということなのだろうが,架空の人物ということもあってか,また,最後の方に至るまで,延々と地味な暗闘が繰り広げられたせいか,どうにものめり込みづらい印象.そういう物語にあって,数少ない武士らしい武士であった今川仲秋は中々魅力的に描かれていて,そこは良かった.前作における今川了俊も,これくらい描写してくれればよかったのにと思う.
読了日:02月02日 著者:北方 謙三

2012年2月の読書メーターまとめ詳細
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2012年1月の読書メーター

1月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:2239ページ
ナイス数:16ナイス

武王の門〈下〉 (新潮文庫)武王の門〈下〉 (新潮文庫)
下巻の興味は今川了俊をいかに描くかに集中していた訳だが,その点ではかなり拍子抜け.少弐頼尚も,下巻で出てきてびっくりしたけど,引っ張った割に…という感じ.どちらも,飽くまでも引き立て役という扱いだった.このあたりは,後の作品における敵役の格好良さと比べると少々残念.史実にある程度忠実に物語を構成した結果,上巻最後の筑後川の戦いがクライマックスになってしまい,下巻に盛り上げ所がなかったのが原因なのだろう.そんな中で際立っていたのは城武顕か.「敵の本陣の前で死ね」のくだりの格好良さは流石北方謙三と唸らされる.
読了日:01月30日 著者:北方 謙三
武王の門〈上〉 (新潮文庫)武王の門〈上〉 (新潮文庫)
南北朝時代の九州を舞台にした歴史小説.舞台を九州のみに絞り込み,かつその全土を縦横に駆け巡るという形式は中々珍しいのかも知れない.北方流ハードボイルド歴史小説,と思って読むと,意外とオーソドックスな歴史小説の形態で若干面食らった.最強武将と少数の精鋭軍団,独自交易ルートに秘密部隊といった北方歴史小説のお約束は確かに既にあるが,主人公格の懐良親王と菊池武光に描写はかなり集中し,最強の敵役も今のところ登場している様子がない.歴史物としては最初の作品なので,この後ハードボイルドとの融合が図られたのだろうか.
読了日:01月28日 著者:北方 謙三
果しなき流れの果に (ハルキ文庫)果しなき流れの果に (ハルキ文庫)
和製SFの極北とも言われる一冊.確かに,この430ページに詰め込まれた物語のスケールの壮大さには圧倒される.テーマそのものは時間とは,宇宙とは何か,また,過去の修正は許されるのかといった普遍的なものであるが,単なる普遍性の枠に収まらず,「果」を強烈に描き出した点が印象的.3章以降の所謂本編では,丁寧に読まないと所属陣営,いる時間空間上の位置など登場人物の立ち位置がわからなくなってしまうが,その読んでいて不安定な感じこそが,今自分がいる時間空間上の位置の,この物語における不安定さをより強く感じさせて面白い.
読了日:01月27日 著者:小松 左京
夢遊病者の姪 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 3‐2))夢遊病者の姪 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 3‐2))
ガードナーの人気シリーズ,弁護士ペリイ・メイスン初期の人気作.話としては比較的淡々と進むが,法廷シーンのスリルは流石.序盤の何が何やらわからない展開の中に散りばめられた伏線の回収も見事で,飽きずに一気に読める一冊.フーダニットという点では,可能性を絞り込むのはそこまで難しくないか.
読了日:01月26日 著者:E・S・ガードナー
統計学を拓いた異才たち(日経ビジネス人文庫)統計学を拓いた異才たち(日経ビジネス人文庫)
紅茶にミルクを注ぐのとミルクに紅茶を注ぐのとでは味が違う.それを見分けることが出来ると言った婦人に対して,天才R.A.フィッシャーはある実験を提案する….この有名なエピソードに始まって,20世紀の主要統計学者の人物評伝を軸に統計学史がわかりやすくまとめられている.これは楽しい一冊だ.恐らく,統計学の基礎を学習する際の副読本として,あるいは学習後に読み返して思い出すのが面白い読み方で,学習前に読むのは少々難しいかなという気がする.基本的には良書だが,訳の日本語の繋がりが若干変な部分が目につくのが少々残念.
読了日:01月18日 著者:デイヴィッド・サルツブルグ

2012年1月の読書メーターまとめ詳細
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2011年12月の読書メーター

12月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2537ページ
ナイス数:21ナイス

赤頭巾ちゃん気をつけて (中公文庫)赤頭巾ちゃん気をつけて (中公文庫)
東大入試が中止になった年の日比谷高校の学生を主人公とした,あるついていない一日のちょっとした出来事と重ねた思索.実に正しくエリートによる青春文学だ.自分はそういった典型的なエリートではない,何か違うんだ.という若干自意識過剰な悩み方がまた,正しくエリートなのである.日比谷高校に対する論評にしてもそうだ.そのため,好き嫌いは分かれそうな気がする.ただ,そのついていない一日の中で見つけた世界の素晴らしさ,自分のあり方,そういったものは,思索を重ねた結果として平凡なところに落ち着いただけに,却って好感が持てる.
読了日:12月29日 著者:庄司 薫
ステップファザー・ステップ (講談社文庫)ステップファザー・ステップ (講談社文庫)
荒川弘がイラスト書いてる宮部みゆきの作品があるよというよくわからない薦められ方で読んでみた.宮部みゆきの作品読むのは初めて.所謂ミステリ,と思って読むと肩すかしで,物語のテンポの良さと,軽妙な語り口を楽しむべき作品だろう.あとがきを見ると長編という構想もある(あった?)ようだが,この設定は短編でこそ活きるように思う.この作品は,この形でこそ面白い.関係ないが,ヘルター・スケルターってどっかで聞いたなと思ったら,ビートルズの曲だったか.
読了日:12月28日 著者:宮部 みゆき
そうざい料理帖 二 (平凡社ライブラリー)そうざい料理帖 二 (平凡社ライブラリー)
著者のエッセイを食に絞ってまとめ,登場する料理の作り方を追加している.その意味では,巻一と大体同じであり,巻一が面白かったので期待して読んだが,こちらは若干テーマから離れたものも多く,内容が薄くなってしまっていた.これだったら,巻二の後半の対談などはカットして,内容も整理した上で巻一と合わせて一冊にしておいた方が良かったのではないかと思う.やはり,池波正太郎のエッセイ集は,生前のものの方が内容的に安定しているようだ.
読了日:12月28日 著者:池波正太郎
そうざい料理帖 巻一 (平凡社ライブラリー)そうざい料理帖 巻一 (平凡社ライブラリー)
著者の食に関するエッセイをまとめ直し,そこに出てくる料理の解説を行っている.没後に出版されたエッセイ集は,どうもまとまりがなくて残念なものが多かったが,この本はコンセプトがはっきりしていて実に読み易く面白い.エッセイそのものは読んだことあるものばかりだったが,それでも退屈しないのは構成の妙か.
読了日:12月27日 著者:池波正太郎
池波正太郎の銀座日記(全) (新潮文庫)池波正太郎の銀座日記(全) (新潮文庫)
著者の晩年8年間の日記.最後までその舌鋒の鋭さが変わらないのは流石である半面,通して読むと徐々に衰えているのがはっきりとわかり何とも言えない.主なテーマは食べること,映画を観ること,そして死ぬことといったところか.特に,訃報についてよく取り上げているのが目に付いた.エッセイにおいてもそうだが,著者にとって,「死」が人生の大きなテーマであったことを伺わせる.それにしても,今の日本は,このような「頑固親父」が生きていくには難しい世の中なのだろうなと考えてしまう.
読了日:12月21日 著者:池波 正太郎
わが家の夕めし (講談社文庫)わが家の夕めし (講談社文庫)
かなりごった煮的な池波正太郎のエッセイ集.食の話題が中心となっていることを期待して読むと肩すかしか.テーマとして,もう少しまとまりがあれば読み易い印象で残念.ファンには貴重な未収録小品集といったところなのだろうか.
読了日:12月18日 著者:池波 正太郎
食べ物日記―鬼平誕生のころ (文春文庫)食べ物日記―鬼平誕生のころ (文春文庫)
池波正太郎でもインスタントやきそばなど食べることがあったんだなぁ.そういう面白さが見られるのは事実だが,逆に言えばその程度のものだった.それ以外に掲載されたエッセイは他の著書からの転載だし,関係者による対談にしても,「池波正太郎」で「食べ物」というタイトルの本に期待されているものではなかったように思う.鬼平ファンには巻末の鬼平四十年史は価値があるかも.
読了日:12月17日 著者:池波 正太郎
さよなら、愛しい人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)さよなら、愛しい人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
名作ハードボイルドの村上春樹訳第二弾.解説にもあるように,マーロウもまだ若かったということか,より派手に暴れ,より痛い目に遭っている.その分セリフ回しやマーロウ自身の格好良さは届かないかも知れないが,ストーリーの練られ方はロング・グッドバイ以上かも知れない.微妙にわかりづらいところも多いが,最後の最後での伏線の繋げ方は見事.個人的には,さよなら、愛しい「人」と改題したセンスがいいと思う(原題は”Farewell My Lovely”なので,若干曲解になるかも知れないが).それでこそ最後の味わいが深まる.
読了日:12月10日 著者:レイモンド チャンドラー

2011年12月の読書メーターまとめ詳細
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